非公式ガイドブックFAQ

■ 5号と4版について

(5冊目から「号」に変わりました)


1.1~3版と4版の違いを教えてください。

…大きく分けて3点について変更を行いました。

  1. 掲載作の決定方法
  2. 1作に対する文章の量と種別
  3. サークル紹介の追加
 詳しい説明は、末尾(※1)に付記します。


2.4版と5号の違いを教えてください。

…大きく分けて3点あります。

  1. 「あらすじ」「ジャンル・キーワード」の追加
     (「キーワード」は1-3版まではあったものです)
  2. 推薦作を推薦者1名につき1作に限定
  3. 評定基準を、より主観に寄せる意味で「合っていた/合わなかった/どちらでもない」に変更


3.どのような理由で評定員制度を採用したのですか。

…より多くの人の目を通したい、と考えたからです。
 ちなみに会議の際は、アマゾンのカスタマーレビューのように★をつけてゆく方法も提案されましたが、各の文学を許容する文学フリマにおいて、客観的な基準としての★を用いるのは不適当と考えました。各々の文学観とぶつけ、照らしてもらうことによって、作品の魅力や特徴がよりはっきりすると考えています。それがときに「文学的喧嘩」とよばれます。


4.4版の評定の基準を教えてください。

…「読めた」か「読めなかった」かです。これは文字通り「最後まで読み通せたかどうか」を示しています。
 ときどき「読める=面白くて指が止まらない/巧い」という意味でとられる方もいらっしゃいますが、「読めた=読み通せた」であることは、マニュアルにも誌面にも記述しました。


5.5号の評定の基準を教えてください。

…「合っていた」「合わなかった」「どちらでもない」です。これも文字通り、評定員自身との相性を自分で判断してもらっています。ただ遠慮して、合わなくても「どちらでもない」にしがちなので、合わないと感じたらなるべく誠実に「合わなかった」を選んでほしい、と。


6.サークル紹介の項は何のためにあるのですか。

…文学フリマのサークル参加者たちがどんな活動をしているのかを紹介するためにあります。こちらは推薦作とは違って、特に基準をもうけたわけではありません。誰かから、ぜひ人に知られてほしいという要望があったサークル、初心者さんに行ってみてほしいという意見があったサークルさんなどを、あまり偏らないように載せています。個人活動が主たる方と、共著作品が主たる方とを半々で載せるという形でバランスをとっています。
 一般参加の方にはサークル活動をしている人がどのように活動しているのかを知って貰い、サークル参加の方には他サークルの内情や沿革を知って貰えていたらと思っています。


7.5号の推薦作が少ない理由は何故ですか。

…4版までは複数作推薦を許可しましたが、5号では1人1作としました。編集の期日的に、推薦作の検討期間があまり長くとれないこと、その期間で推薦作の決定と推薦文の執筆までをお願いすることからです。
 その代わり、責任編集者も評定員も、すべての作品を最後まで読み通すことを義務づけ、作品をより丁寧に扱いました。


8.委員会メンバーはどのようにして集めましたか。

…前回からの続投、そして小説をよく読まれていると知っている方のなかで、仕事を引き受けて頂けそうな方に何人かお声を掛けました。推薦者は文学フリマ経験者(サークル参加でも一般参加でも)に限っています。
 客観的な資格は、一切設けていません。どなたが薦めたかではなく、誰でもいい誰かが、ただし自信と説得力を持って薦められているか、を重視しました。


9.委員会メンバーに入るにはどうすればいいですか。

…メールでも会場でもTwitterでも、お声をかけて下されば推薦者・評定員ともに入れました。私の任期中には誰からもご希望をいただきませんでした。
 評定員についてはWeb上での公募を行いましたが、こちらにもご応募はいただきませんでした。
http://bunfreeug.web.fc2.com/assessor.html


10.4版と5号の頒布部数を教えてください。

…4版:175部(関係者献本27部を含む。残部なし)
 5号:192部(関係者献本32部、外部献本3部を含む)
 (※2014年5月11日現在)


■ 非公式ガイド自体について


1.ガイドへの掲載を断ることは可能ですか。

…推薦作の著者さんには、念のため書影使用の確認をとっています。どうしても掲載されたくないという場合は理由をおうかがいしますが、よほど特殊な事情がない限り掲載拒否は受け付けていません。なお、現在まで(1版~4版、5号)拒否の要望をいただいたことはありません。
 表紙のデザイナーさんが許可を下ろさないとか、そもそも著作権法違反の表紙であるという場合には、書影をカットして掲載する予定でした。こちらも実際の事例はありません。


2.掲載される人は、事前に推薦文や評定文の確認は可能ですか。

…不可能です。
 推薦・評定ともどんな文章が寄せられるかはお伝えしていません。事前確認・事後献本ともに行っておらず、内容が気になる方にはご自分で買っていただいています。
 ただ推薦作は「面白い」から載るのであって、「つまらない」から載る、ということはありません。ただ「面白くない」人もいる、ということはあります。面白さを伝えることだけがレビューだ、とは考えません。面白くなさを伝えるのもレビューになりうると考えています。
 もし「非公式に載ったことでサークルや書籍の売上が下がった」という客観的なデータを提供していただけるなら、憲章の範囲内で、我々にできる限りの対応を考えます。なお、当方としては、書影と書誌情報、推薦文と関連作品紹介に誌面の4分の3を割く誌面構成によって、すでに大きな広告効果をもっていると考えております。
 また当委員会としては、一度発表された作品について読者から何を言われ・書かれるかは、作者がコントロールできるものではないと考えています。ゆえに、掲載「許可」を取得するのは不自然だと考えています。

 なお第5版では特殊な事例がありましたが、公式には一切の公開を行わない方針でした。事実の流れは、こちらのページをご覧ください。


3.責任編集者と推薦者、評定員は何が異なりますか。

…責任編集者は推薦された本を検討します。また、推薦者と評定員の文章を読み、正誤や伝わりやすさをチェック(校閲)します。
 推薦者は、本を推薦し、推薦文を執筆・提出します。
 評定員は、送られてきた本を読み、評定と評定文を提出します。
 推薦者と評定員は校閲後、必要に応じたリライトを施し、責任編集者と合意できた文章で校了とします。


4.文壇をどのように定義していますか。

…高村暦は「文壇」を「権威あるものが、文学の評価基準を客観的なものとして提示し、文学の価値を恣意的に定めうる力を有したもの」だと考えています。権威の裏付けとしては、過去に別の権威に評価されたこと(たとえば受賞履歴、ベストセラー実績)が挙げられると考えます。メンバーにとっては違うかもしれませんので、委員会の共通認識かどうかはわかりません。


5.非公式ガイドは文壇になろうとしているのですか。

…前述の定義にしたがえば、つまり高村暦の目から見ると、非公式ガイドは「文壇」になろうとしてもなれません。文学フリマそのものに、文学の客観的定義がないため、非公式ガイドもまた客観的定義を設けず、主観をすべての基準としているからです。
 なお主観を基準とすることは、第二宣言で繰り返されているほか、各種の宣伝や本文、もちろんマニュアルにも記されています。ときに判断基準が客観的ではないと言われますが、そもそも客観的な判断基準を掲げていません。


6.非公式ガイドは誰のためにあるのですか。

…文学フリマにやってくる、もしくはやってこようとする読者のためにあります。


7.何故、詩歌や評論を対象としないのですか。

…佐藤さんの発言を引かせていただきます。

「●なぜ小説限定なのか
この企画を立ち上げた当時、小説というジャンルの本があまり売れていないと、
企画を立ち上げた僕が感じていたというのが第一の理由です。
小説を売る、というのが元々のモチベーションであり、そのための企画だから、
小説限定にしたわけです。

第2の理由として、この本の編集者がほかのジャンルの本に詳しくないため、
小説以外の本を掲載したくてもできませんでした。
本当なら、小説を書く人が自分でやるべき企画ではないと考えています。
しかし、誰もやってくれないから、自分たちでやったのです。
だから、小説しかカバーできませんでした。
小説以外のジャンルについては、誰か他の人がやってくれることを期待していました。
そのためにわざわざ本のタイトルに長ったらしく「小説ガイド」と付記したのです。」
 高村も、この考えを受け、詩歌と評論を対象とはしませんでした。ただし第4版からは評定に、少ないとはいえ詩歌の方と評論の方を加えてみています。
 対象を分けるのがおかしい、ということもできますが、実際、新たに評論と詩歌を対象とするなら、編集側も評論や詩歌のブースを積極的に回らねばならず、それなりの準備が必要になります。そして、その準備をする体制は整っていませんでした。だから現状では、小説ガイドと名前をつけています。


8.小説であると判断するのは誰ですか。

…推薦者です。評定員がそれを否定することもあります。


9.通販しない理由を教えてください。

…在庫があるものについては、イベント後に必ず下北沢の古書ビビビさんで預かっていただいています。古書ビビビさんで通販をご利用ください。
 ガイドブックは当日の完売を目指しています。なぜならガイドブックは当日文学フリマに来てくれた人がもっとも使いやすいように作られているからです。
 なお2014年5月11日現在、古書ビビビさんで取り扱いがあるのは第5号のみです。3版は古書ビビビさんにはありませんが、在庫自体はありますので、委員会までお問い合わせください。3版が古書ビビビさんにないのは、売れなかったからです。


10.自薦することは可能ですか。

…もちろんです。ただし高村の任期中には一度も自薦をいただいていません。自薦他薦問わず、面白い本があれば、ぜひ教えてください。


※1
①掲載作の決定方法。1~3版では、掲載作は編集委員会全体で検討していたそうです。また新刊原稿は推薦者がつけば掲載、ということにしていたそうです。
 4版では推薦者から推薦理由を添えて推薦作を提出、その全作について責任編集3名が「査読」を行い、拒否権が行使されなかったものについてすべて掲載しました。
 なお5版では推薦のさいに、推薦文も添えて提出していただきました。同じく「査読」を経てはいますが、責任編集者が面白く読めるかよりも、推薦文によって「面白い」と説得されたかどうか、に重きをおきました。結果的には全作品掲載となりましたが、推薦があったものを必ず載せるという形ではなく、掲載作決定会議での話し合いを経ています。
 また5版まで全ての作品について、責任編集者3名には掲載の拒否権がありました。この拒否権について、最高責任編集者は優先権を持ちません。
 (例:最高責任編集者が拒否権を使わなくても、責任編集者が拒否権を使えば掲載されない)

②1作に対する文章の量と種別が変わりました。1~3版は、推薦作1作につき推薦者1名による長めの推薦文と短い編集者コメントが寄せられました。
 4版からは推薦文を少し短く設定しました。そして冒頭に本文からの引用を添えることを義務づけました。1~3版では、引用の有無は推薦者の裁量によりました。引用の義務づけによって、どの作品でも、本文の文体や言葉遣いを感じることができるようにしています。また、書誌情報のほかにキャッチコピーを付けて、読者の興味を惹きつけやすいように工夫しています。
 そして「評定結果」と「評定文」を各作品につき3つ掲載しました。推薦作を受け取った評定員が評定結果とコメントを寄せています。4版と5版で評定の職務は異なります(詳しくは評定基準の質問をご覧ください)。
 なお、評定員のうち1名は必ず責任編集者が務めました。これは、3名新たに読んでもらうことがタスク量として現実的ではなかったため、そして責任編集者が推薦作を必ず手に取っているのだと保証するためです。

③サークル紹介の追加 委員会内から提案があり、サークル紹介の頁をもうけました。文学フリマは作家に直接会えるのも魅力のひとつなので、作家を紹介するのも読み物として面白いのではないかと考えました。

(質問作成:第5号責任編集者・秋山真琴)
(回答:第2代最高責任編集者・高村暦)
(回答日:2014年5月11日)

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